土地の境界とは

土地の境界とは

土地は人為的に区画しなければ広大な一つの土地にすぎません。しかし、これでは使い勝手も悪く生活の基盤とならず、また所有権などの権利の対象としても適しません。
そこで、人為的に区画することにより双方の土地の「境」が生じ、一区画の土地が形成され、一区画ごとに地番が付けられ、その結果一筆の土地が形成されることになります。
この隣り合う土地(地番)どうしの境を一般的に「境界(筆界)」と呼びます。

 

土地境界線の成り立ち

1広大な土地
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2土地の区画を形成
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3境界ができる
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4境界線で土地の範囲が決定(地番の界=筆界)
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5土地を所有することができる範囲が決定(所有権界)

 

この「地番の界(筆界)」を歴史的にさかのぼってみますと、明治政府が行った地籍調査で村、大字などを一つの区域とし、これをさらに区画して一区画の土地とし地番が付けられました。
これらの手続きにより土地に公簿いう制度が与えられ、筆界が形成されたとされています。

 

このことから考察しますと、「地番の界」である筆界はあくまでも「地番の界」であり、県界、市界、町界などと同様に扱われるべきものであり、個人が自由に扱うことができない「公法上の境界」となることがご理解いただけると思います。

 

この「公法上の境界」=「地番の界」=「筆界」により区画された土地は不動産登記法第35条により「登記所は、法務省令で定めるところにより地番を付すべき区域を定め、1筆の土地ごとに地番を付さなければならない」と定められています。

 

これらのことから、筆界は新たに地番が生まれる場合(土地区画整理、土地改良、分筆など法律に基づくもの)以外は、「土地の筆界は明治時代から存するもの、受け継がれているべきもの」であるはずなのですが、筆界は地表面に境界線という有体物が存在するわけでなく目に見えません。

 

物理的に切り離すことができれば問題は起きないのでしょうが、土地はそのような訳にはいきません。物理的に切り離せない、有体物が存する訳でもない、目にも見えないため、現地の状況の変化、人間の記憶力の問題などで筆界が不明になりトラブルの種となってしまうわけです。

 

筆界が目に見えない??

上記で書いたように、筆界は目に見えません。現実には地表面にロープを張って確認したり、また図面上では線で図示したりします。従って何か筆界線といった有体物があるような感じになってしまいますが、実際にこれは筆界の目印であり筆界そのものではないのです。

 

そこで、筆界が目に見えないということを補って、筆界が分かるようにするために「目印」すなわち「境界標(杭)」が必要とされるわけです。つまり「境界標(杭)」とは、人為的に設置された筆界の目印となるべき物ということになるでしょう。

 

上記のように、境界杭は目印として人為的に設置されるものですので、全ての筆界に境界杭が存しているわけではありません。また、「人為的に設置」されることの反対に「人為的に亡失」ということも珍しくありません。大きく分けますと、「境界杭が設置されている土地(地域)」「境界杭の設置されていない土地(地域)」「境界杭が設置されたけど亡失した土地(地域)」「境界杭は設置されているはずだけど記憶が定かでない」となるのではないでしょうか。

 

と、ここまでが筆界の大まかなお話です。

 

「公法上の境界=筆界」に対し「私法上の境界」も存在します。

私法上の境界とは、所有権、借地権、占有権などの権利の範囲を表すもので「公法上の境界」と異なり、個人が自由に決めることができる境界をいいます。
個人が自由に決める事ができる・・・すなわち、所有権界、借地権界、占有権界などはお隣同士の話し合いがまとまればどのように決めても問題ないということです


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